セントパトリックスデーってどんな日?
セントパトリックスデー(聖パトリックの祝日)は、毎年3月17日。アイルランドにキリスト教を広めたとされる聖パトリックをしのぶ日で、アイルランドでは祝日です。聖パトリックが三つ葉のシャムロック(クローバーの仲間)を使って教えを説いたという言い伝えから、シャムロックと緑色がこの日のシンボルになりました。
アイルランド系の移民が多いアメリカやカナダでは、緑の服を着てパレードを見に行くのが定番。日本でも東京・表参道などでパレードが開かれ、少しずつ知られるようになってきました。虹のふもとに金貨の入った壺がある、というアイルランドの妖精「レプラコーン」の伝説も、子どもたちに人気のお話です。
3月の日本はちょうど、野原にシロツメクサが顔を出し、よもぎや菜の花が出回るころ。春の緑を探しに出かけて、そのままおやつ作りにつなげるのも楽しい過ごし方です。ひなまつりや卒園・卒業と重なる時期のおやつは3月のおやつカレンダーでも紹介しています。
あの緑色はどこから? 合成着色料と自然の緑
海外で売られている緑色のお菓子の多くは、黄色の着色料(タートラジン、日本では「食用黄色4号」)と青色の着色料(ブリリアントブルー、日本では「食用青色1号」)を混ぜて色をつけています。どちらも日本でも使用が認められている食品添加物で、使われている場合は「着色料(黄4、青1)」のように原材料欄に表示されます。
2007年にイギリスで行われた研究では、3歳と8〜9歳の一般の子どもたちに、合成着色料数種類と保存料を混ぜた飲み物を飲んでもらったところ、一部の子どもで多動的な行動が増えたと報告されました(McCann et al., 2007)。この研究をきっかけに、EUでは対象の着色料を含む食品に「子どもの活動や注意に悪影響を与える可能性がある」という表示が求められるようになっています。ただし影響の出方には個人差があり、この研究だけで「合成着色料は危ない」と言い切れるわけではありません。くわしくは食品着色料と子供の行動で整理しています。
とはいえ、行事のおやつは「何を使わないか」より「何で楽しむか」を考えるほうがずっとワクワクします。野菜やお茶の緑は、色と一緒に食物繊維やビタミン、ミネラルも運んでくれる食材。果物や野菜をいろいろな色で食べることは、それぞれに含まれる成分の組み合わせという点でも意味があると考えられています(Liu, 2003)。
自然の緑ガイド — 日本で手に入る食材で
| 食材 | 色合い | 風味 | 加熱 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| 抹茶(製菓用) | 深い緑〜若草色 | ほろ苦く、うまみがある | 比較的強い(160℃前後で焼くと色が残りやすい) | クッキー、白玉、蒸しパン、ヨーグルト |
| 小松菜・ほうれん草 | 明るい黄緑〜緑 | 少量ならほとんど気にならない | 長く加熱するとくすみやすい | パンケーキ、スムージー、ディップ |
| よもぎ(乾燥・冷凍) | 深い緑 | 春らしい香り | 強い | 草もち、白玉、蒸しパン |
| 青汁パウダー(大麦若葉・ケール) | くすんだ緑 | 青っぽい、穏やか | 中程度 | エナジーボール、スムージー |
| スピルリナパウダー | 青みがかった緑 | 独特の磯の香り | 弱い(色があせやすい) | 焼かないクリーム、冷たいおやつ |
焼き菓子なら抹茶がいちばん扱いやすく、明るい黄緑にしたいときは小松菜やほうれん草のペーストが向いています。スピルリナや青汁パウダーは製菓材料店や通販で手に入ります。天然色素の使い分けは天然着色料ガイドも参考にしてください。
1. 抹茶のシャムロッククッキー
ほろっと崩れるショートブレッド風の生地を、クローバー型で抜いて焼くだけ。ホワイトチョコを細く垂らすと、緑と白のコントラストで一気にお店のような仕上がりになります。型抜きは3歳ごろからでも楽しめる作業です。
材料(約24枚分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 薄力粉 | 200g |
| 無塩バター(冷えたもの、角切り) | 130g |
| アルロース(粉末) | 50g |
| 抹茶(製菓用) | 大さじ1 |
| 塩 | ひとつまみ |
| ホワイトチョコレート(仕上げ用) | 50g |
作り方:薄力粉・抹茶・アルロース・塩をフードプロセッサーで軽く混ぜ、冷たいバターを加えてさらさらの砂状になるまで回します。ひとまとまりになったら、オーブンシートではさんで6mm厚さにのばし、冷蔵庫で30分休ませます。クローバー型で抜き、160℃に予熱したオーブンで12〜14分。完全に冷めてから、湯せんで溶かしたホワイトチョコをスプーンで細く垂らします。フードプロセッサーがなければ、ボウルで指先を使ってバターと粉をすり合わせてもOKです。
抹茶の緑は葉緑素(クロロフィル)の色で、高温で長く焼くと茶色っぽくなります。低めの温度でじっくり焼くのが、きれいな緑を残すコツです。
カフェインについて:抹茶はカフェインを含むお茶の粉です。このレシピの抹茶大さじ1(約6g)を24枚に分けると、1枚あたりのカフェインはおよそ8mg前後で、煎茶を湯のみに半分ほど飲むのと同じくらいの目安です。幼児は1〜2枚までにして、夕方以降は控えめに。年齢別の考え方は子ども向け抹茶おやつガイドにまとめています。
2. 小松菜バナナのグリーンシェイク
アメリカではこの季節、ファストフード店にミント味の緑のシェイクが並びます。おうち版は、冷凍バナナでとろりとさせ、色は小松菜でつけるシェイク。小松菜はアクが少なく、生のままスムージーにしやすい日本の青菜です。
材料(1杯分)
- 冷凍バナナ — 1本(熟したものを輪切りにして凍らせる)
- 小松菜 — 30g(葉の部分をよく洗う)
- 牛乳または無調整豆乳 — 200ml
- プレーンヨーグルト — 60g
- 抹茶 — 小さじ1/4(なくてもOK。夕方以降は入れない)
- 氷 — 2〜3個
作り方:すべてをミキサーに入れ、なめらかになるまで回します。透明なグラスに注ぐと、緑色がよく映えます。熟したバナナの甘さで十分なことが多いので、甘みはまず味見をしてから。足りなければアルロースを小さじ1ほど加えます。
バナナと乳製品の組み合わせなら、青菜の味はほとんど目立ちません。野菜が苦手な子でも「緑のジュース」として飲めることがあり、かくれ野菜おやつレシピと同じ発想で取り入れられます。
3. 「金貨の壺」エナジーボール
レプラコーンの金貨の壺にちなんで、緑のエナジーボールを小さな器に盛り、金色の包み紙のコインチョコを数枚添えます。焼かずに作れて、冷蔵庫で数日もつので、週末の作りおきにも。
- オートミール — 150g
- 練りごま(白)またはひまわりの種のペースト — 80g
- アルロース — 30g
- 青汁パウダー(大麦若葉など) — 小さじ2(または抹茶小さじ1)
- きな粉 — 20g
- チョコチップ(カカオ分高めのもの) — 30g
- 牛乳 — 大さじ1〜2(まとまりにくいとき)
作り方:材料をすべてボウルに入れて、手でぎゅっとまとまるまで混ぜます。直径2cmほどに丸め、冷蔵庫で1時間冷やします。約24個分。冷蔵庫で保存し、3日を目安に食べきりましょう。
オーツ麦には、水溶性食物繊維のβ-グルカンが含まれます。小さな子に出すときは、丸いままより平たく押しつぶした形のほうがのどに詰まりにくく安心です。ごまアレルギーがある場合は、練りごまをひまわりの種のペーストに替えてください。味の組み合わせはエナジーバイツのフレーバーマトリックスが便利です。
4. 虹と金貨のフルーツプレート
大きなお皿に、果物を虹の形に弧を描いて並べ、虹の端に「金貨の壺」を置くフルーツプレート。砂糖を足さない、パーティーテーブルの主役です。
並べ方の例:赤(いちご)、オレンジ(みかん)、黄色(パイナップル)、緑(キウイ、マスカット)、青(ブルーベリー)、紫(ぶどう)。虹の端には小さな器を置き、ゴールドキウイやマンゴーを「金貨」として盛ります。3月はいちごやデコポンなど柑橘がおいしい時期なので、旬のものを中心に組み立てると手ごろです。
色ごとに含まれる成分が違うことを話しながら並べると、自然と「いろいろな色を食べよう」という食育になります。果物や野菜をしっかり食べることの利点は多くの研究でまとめられていて(Slavin & Lloyd, 2012)、和食でも「五色(白・黒・黄・赤・青〔緑〕)」をそろえると彩りも栄養のバランスも整う、という考え方があります。色と栄養の関係は食べ物の色と栄養素の関係でくわしく紹介しています。
小さな子への注意:ぶどう、マスカット、ブルーベリーのような丸くてつるっとした果物は、のどに詰まりやすい食品です。幼児には4等分などに小さく切って出しましょう。食べるときは座って、大人がそばで見守ってください。
5〜8. ほかにもある、緑のおやつ4品
5. 抹茶白玉のコイン
白玉粉100gに絹ごし豆腐100gほどを少しずつ加えてこね、耳たぶくらいのやわらかさにします。抹茶小さじ1/2を混ぜ込み、小さく取って平たいコイン形に。クローバー型を軽く押し当てて模様をつけ(抜ききらない)、沸騰した湯に入れて浮いてから1〜2分ゆで、冷水にとります。きな粉にアルロースを少し混ぜてまぶせば完成。豆腐を入れると時間がたっても固くなりにくく、子どもにも食べやすい食感になります。白玉はのどに詰まりやすいので、小さな子には小さく切り、よく噛むように声をかけてください。もちや白玉を安全に楽しむコツはもちガイドにまとめています。
6. クローバー形の青菜パンケーキ
薄力粉100g、卵1個、牛乳150ml、下ゆでして水気を絞ったほうれん草50g(または生の小松菜)、アルロース小さじ1、ベーキングパウダー小さじ1/2をミキサーでなめらかにします。生地をドレッシング用のボトルなどに入れ、熱して薄く油をひいたフライパンに、丸を3つ並べてクローバーの形を描きます。弱めの中火で片面2分ずつ。ヨーグルトといちごを添えると、緑と赤で春らしい一皿になります。8〜10枚分。
7. 緑のひよこ豆ディップと餃子の皮チップス
ひよこ豆の水煮1缶(汁気を切る)、練りごま大さじ2、レモン汁大さじ2、下ゆでしたほうれん草50g、大葉5〜6枚(またはバジル少々)、オリーブオイル大さじ2、塩少々をフードプロセッサーでなめらかにします。にんにくは子ども向けなら入れないか、ほんの少しで。添えるチップスは、餃子の皮をクローバー型で抜き、オリーブオイルを薄く塗って180℃のオーブンで7〜10分、薄く色づくまで焼くだけ。甘いおやつが並ぶテーブルで、ほっとする塩味担当になります。ディップは冷蔵で2日以内に食べきりましょう。
8. 抹茶のフローズンヨーグルト
水切りヨーグルト(またはギリシャヨーグルト)400gに、抹茶小さじ1、アルロース30gを混ぜます。オーブンシートを敷いたバットにスプーンでひと口大に落とし、チョコチップを2〜3粒ずつのせて2時間以上冷凍。保存袋に移して冷凍庫へ。ひと口サイズなので、少しずつ楽しめます。抹茶の量はクッキーより少なめなので、1個あたりのカフェインはごくわずかです。
キッチンでできる「緑の科学」実験
せっかく自然の色を使うなら、色が変わるしくみも一緒にのぞいてみましょう。どれも台所にあるもので試せます。
酸性・アルカリ性で色くらべ:ゆでたほうれん草を細かく刻んで2つの小皿に分け、片方にレモン汁、もう片方に重曹をほんの少し入れて、しばらく置いてみます。レモン汁のほうは、だんだん黄色っぽいくすんだ緑に。重曹のほうは鮮やかな緑が残ります。葉緑素は酸に弱く、酸性の条件で色が変わるためです。ほうれん草のおひたしにポン酢をかけるのは食べる直前に、というのもこの理由から。青菜をゆでたらすぐ冷水にとるのも、色を保つ昔からの工夫です。(重曹を入れたほうは味見しないでください)
熱に強いのはどれ?:抹茶、青汁パウダー、スピルリナを小さじ1/4ずつ、それぞれ少量の小麦粉と水で練って小さなクッキー状にし、180℃で10分焼きます。焼く前に「どれがいちばん緑のまま残るかな?」と予想を立ててから比べてみましょう。スピルリナの青い色素は熱に弱いので、焼くと色が大きく変わりやすいはずです。
バタフライピーの色変わり:バタフライピーのお茶は青色。そこにレモン汁を入れると紫やピンクに変わります。こちらはアントシアニンという別の色素の性質です。親子で楽しむ手順は色が変わる魔法ドリンク、紫キャベツで試すなら天然色素ラボの親子実験へ。
「お皿の上の緑は、本物の植物から来ている」。それを自分の目で確かめる体験は、どんな説明よりも子どもの記憶に残ります。
おうちで「緑のパーティー」を開くなら
甘いもの3〜4品、塩味2品、飲み物1品くらいの組み合わせが、食べすぎにならず満足感もあるバランスです。子ども10人くらいの集まりなら、たとえばこんなメニューに。
- 抹茶のシャムロッククッキー — 24枚(1人2枚ほど)
- 小松菜バナナのグリーンシェイク — 小さめのコップで10杯
- 虹と金貨のフルーツプレート — 大皿1枚
- 緑のひよこ豆ディップと餃子の皮チップス — 1回分
- 「金貨の壺」エナジーボール — 24個(1人2個ほど)
段取りの目安:クッキーとエナジーボールは2日前までに。ディップと餃子の皮チップスは前日に作り、ディップは冷蔵、チップスは乾燥剤と一緒に密閉容器へ。果物を切るのとシェイクを作るのは当日に。前もってできることを済ませておけば、当日は子どもたちと一緒に盛りつけを楽しむ余裕が生まれます。
飾りつけは、プラスチックの緑グッズより、公園で摘んだシロツメクサや鉢植えのハーブ、緑の布や折り紙で。「本物の緑」をテーマにすると、テーブル全体に統一感が出ます。お友だちを招くときは、事前に食物アレルギーの有無を確認し、材料を書いたメモを添えると安心です。
タイプ別アドバイス
まずは公園で「四つ葉のクローバー探し」。たっぷり歩き回ったあとの補食に、エナジーボール2個と小松菜バナナシェイクを。バナナの炭水化物とヨーグルトのたんぱく質で、遊んだ体をしっかり支えられます。
虹のフルーツプレートは、配置をまるごと子どもに任せてみましょう。どの色をどこに置くか考えたら、レモン汁と重曹の色くらべ実験も。結果を絵日記にすれば、春休みの自由研究にもなります。
抹茶白玉のコインを、親子で並んでゆっくり丸める時間に。ゆで上がりを待つあいだに、レプラコーンの金貨のお話や、遠いアイルランドの春の行事について話してみてください。抹茶を使うおやつは午後早めの時間がおすすめです。
よくある質問
焼き菓子に色をつけるなら、どの緑の食材がいいですか?
焼き菓子には抹茶がいちばん扱いやすく、160℃前後の低めの温度で焼くと緑色が残りやすくなります。ほうれん草や青汁パウダーは生地に混ぜられますが、高温で長く焼くとくすんだ色になりがちです。スピルリナは熱で色があせやすいので、クリームや冷たいおやつなど焼かないものに使いましょう。
抹茶やほうれん草の味に、子どもは気づきますか?
抹茶は少量ならほろ苦さが穏やかで、抹茶味のお菓子に慣れている子も多いです。ほうれん草や小松菜は、少量ならバナナやチョコレート、ヨーグルトなど味のはっきりした食材と合わせると、ほとんど気づかれないことがよくあります。最初は量を控えめにして、子どもの反応を見ながら調整してください。
抹茶にはカフェインがありますが、小さな子どもが食べても大丈夫ですか?
抹茶はカフェインを含むので、量と時間に気をつけましょう。この記事のクッキーは抹茶大さじ1を24枚に分けるので、1枚あたりのカフェインは約8mgで、煎茶を湯のみ半分ほど飲むのと同じくらいの目安です。幼児は1〜2枚までにして、夕方以降は控えめに。抹茶ラテのように抹茶をたくさん使う飲み物は、小さな子には向きません。心配なときはかかりつけの小児科医に相談してください。
市販の緑の食用色素を使ってもいいですか?
日本で販売されている食用色素は、国が使用を認めた食品添加物です。一方で、合成着色料を含む飲み物で一部の子どもの多動的な行動が増えたという研究(McCann et al., 2007)があり、EUでは表示が求められています。気になる場合は、原材料欄の「着色料(黄4、青1)」などの表示を確認し、抹茶や青菜など食材そのものの色を選ぶ方法もあります。
緑色のおやつを、おいしそうに見せるコツは?
ポイントはコントラストです。緑は、ヨーグルトやホワイトチョコの白、ココアやチョコの茶色と組み合わせると引き立ちます。色をつける食材が少なすぎると中途半端なくすんだ色になるので、思いきって緑をはっきり出すのがコツ。抹茶のお菓子に白いクリームや白玉が添えられることが多いのも、同じ理由です。
参考文献
- McCann, D. et al. (2007). "Food additives and hyperactive behaviour in 3-year-old and 8/9-year-old children in the community: a randomised, double-blinded, placebo-controlled trial." The Lancet, 370(9598), 1560-1567. doi:10.1016/S0140-6736(07)61306-3
- Slavin J. & Lloyd B. (2012) Health benefits of fruits and vegetables. Advances in Nutrition, 3(4), 506-516. doi:10.3945/an.112.002154
- Liu R.H. (2003) Health benefits of fruit and vegetables are from additive and synergistic combinations of phytochemicals. American Journal of Clinical Nutrition, 78(3), 517S-520S. doi:10.1093/ajcn/78.3.517S
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 消費者庁「食品表示基準」(食品添加物の表示)