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ティーンのSNSフードトレンド — 親が知るべき流行の真実

夕食後、スマホを見ていた娘が「明日から夜は炭水化物抜くね」とぽつり。息子は部活帰りにプロテインドリンクを2本。どこで覚えてきたのか聞くと、答えはたいてい「SNSで見た」です。いまの中高生にとって、食や栄養の情報はまず動画や投稿から入ってきます。中には役に立つものもありますが、再生数が伸びやすい極端な話ほど目に入りやすいのも事実。この記事では、子どもを取り上げて叱るのではなく、一緒に見て、一緒に考えるための材料を、流行のパターンごとに整理しました。

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中高生は、食の情報をどこから得ているのか

アメリカの食品情報団体による消費者調査では、若い世代ほどSNSを食や栄養の情報源にしている傾向が報告されています(International Food Information Council, 2023)。日本でも、レシピも流行りのお菓子も「ショート動画で知った」という中高生は珍しくありません。SNSが若い世代の食行動に影響していると感じている、という調査もあります(Vaterlaus et al., 2015)。

問題は、SNSのおすすめ表示が「正確さ」ではなく「どれだけ見られたか」で動いていることです。驚き、不安、憧れをかき立てる投稿ほど拡散され、「人による」「量しだい」といった地味で正確な情報は埋もれがちになります。

思春期の子が影響を受けやすい理由

  • じっくり検討する脳の働きは、まだ発達の途中:先の影響を見通したり、情報の確かさを比べたりする働きは、20代にかけてゆっくり育ちます。
  • 食べ方が「自分らしさ」の一部になる:「わたしはこういうものを食べる人」という感覚が、アイデンティティと結びつきやすい時期です。
  • 「いいね」の数=正しさ、と感じやすい:何十万回も再生されている動画は、それだけで本当らしく見えます。
  • おすすめ表示の偏り:一度見た系統の動画が次々に流れてくるので、「みんなそうしている」と錯覚しやすくなります。

子どもが動画やネット広告を通じて食べ物の影響を受けることは研究でも示されていて、人気の動画投稿者が紹介したお菓子を見た子どもは、その後に食べる量が増えたという実験もあります(Coates et al., 2019)。「見ているだけ」でも、食べ方は少しずつ動かされているのです。

流行その1:「1日の食事ルーティン」動画

どんな投稿?朝のスムージー、ランチの小さなサラダ、夜はスープだけ。おしゃれな器と音楽で、「わたしの1日の食事」を紹介する動画です。きれいで真似したくなる一方、映っている量は大人の、それも体の小さな人の量であることが多く、成長期の中高生には足りません。

成長期に必要な量:日本人の食事摂取基準(2025年版)では、中高生の1日の推定エネルギー必要量は、ふだんの活動量でおおむね2,300〜2,800kcal程度とされ、部活で体を動かす子はさらに多くなります。骨や筋肉、脳がぐんぐん育つ時期なので、大人以上にエネルギーが必要なこともあるくらいです。

動画に映らないこと:カメラが回っていないところで食べているかもしれないこと、見た目のために盛りつけを小さくしていること、投稿者と自分では体格も活動量も年齢も違うこと。動画は「その人のある1日を切り取った作品」であって、食事の見本ではありません。

どう声をかける?

「その人、撮影してないときにも食べてるかもね。それに、あなたはいま骨も脳も作っている最中だから、デスクワークの大人よりずっと燃料がいるんだよ」。否定ではなく、自分の体の事情に目を向けられる言い方がおすすめです。体型への意識とのつきあい方は子供のボディイメージと食事でも紹介しています。

流行その2:映えスイーツと大食い・ASMR動画

どんな投稿?カラフルな巨大パフェ、断面が美しいフルーツサンド、色の変わるドリンク。咀嚼音を楽しむASMR動画や、驚くほどの量を食べきる大食い動画も根強い人気です。

考えたいこと:見た目がワクワクする食べ物を楽しむこと自体は、悪いことではありません。友だちと写真を撮って笑い合う時間は、思春期の大事な楽しみです。気をつけたいのは「映えるもの」が日常になって、甘い飲み物や大きなスイーツが毎日のように続くこと。そして大食い動画は、編集されたエンタメであって、真似するものではないということです。

Smart Treatsが大切にしているのは「見た目はワクワク、中身は体にうれしい」という考え方。たとえば、映えスイーツが好きな子には、ヨーグルトと季節の果物でグラスパフェを一緒に作ってみるのもおすすめです。撮影も楽しめて、甘さは自分で調整できます。

流行その3:「〇〇抜き」「これは毒」という極端な食事法

どんな投稿?「炭水化物は太る」「小麦は体に悪い」「添加物は毒」「白い食べ物は食べない」。食べ物を「きれい・汚い」「良い・悪い」で分け、特定の食品群をまるごと避けるよう勧める投稿です。

研究からわかること:栄養学には「クリーンな食べ物」という定義はありません。食べ物に善悪のラベルを貼り、「正しいものしか食べられない」状態にとらわれてしまうことは、オルトレキシアとよばれ、摂食障害につながりうる状態として研究されています(Dunn & Bratman, 2016)。

セリアック病や乳糖不耐症、食物アレルギーなど医学的な理由がない限り、主食や乳製品をまるごと抜く根拠はとぼしく、成長期にはむしろ心配が増えます。乳製品を抜けばカルシウムが不足しやすく、主食を抜けば頭と体を動かすエネルギーが足りなくなります。

日本の食卓は「足し算」が基本

日本の食生活指針では、主食・主菜・副菜を基本に、いろいろな食品を組み合わせることが勧められています。かつて「1日30品目」が目安にされたことがあるように、日本の食育は「何を抜くか」より「何を組み合わせるか」で考えてきました。学校給食も、ご飯・魚や肉・野菜・汁物・牛乳を組み合わせる「足し算」の献立です。SNSの「〇〇抜き」に心が揺れたら、この発想に立ち返ってみましょう。食育の考え方は日本の食育とは?でくわしく紹介しています。

流行その4:サプリ・置き換えドリンク・「デトックス」

どんな投稿?青汁パウダー、コラーゲンドリンク、酢のドリンク、「腸活」ドリンク、置き換えシェイク、デトックスティー。概要欄に割引コードや購入リンクがついていることもよくあります。

知っておきたいこと:

  • 青汁や野菜パウダー:野菜の代わりにはなりません。食物繊維や水分、かみごたえ、いろいろな成分の幅は、本物の野菜にかないません。
  • コラーゲン:食べたコラーゲンは、ほかのたんぱく質と同じように分解されて吸収されます。肌や髪に直接届くわけではありません。ふだんの食事でたんぱく質がとれていれば、わざわざ足す必要はありません。
  • 酢のドリンク:料理に使う程度なら問題ありませんが、原液や濃いものを毎日飲むと、歯のエナメル質を傷めることがあります。
  • デトックスティー:便通をうながす成分を含むものが多く、体の「毒」を出すものではありません。とくにセンナの葉は、日本では医薬品の成分として扱われています。中高生が自己判断で使うのはやめましょう。
  • 置き換えシェイク:成長期の子が食事を置き換えるのは勧められません。

日本では2023年10月から、広告であることを隠した宣伝(いわゆるステマ)が景品表示法で規制されています。企業から依頼を受けた投稿には「PR」「広告」などの表示が必要です。この表示に気づけるかどうかは、子どもにとっても大事なスキルです。「機能性表示食品」や「特定保健用食品」の表示の意味は食品ラベル完全読み方ガイドも参考にしてください。

サプリの投稿を見たら、3つの質問を

「この人は、これを売ってお金をもらっている?」「研究ではどう言われている?(体験談ではなく)」「ふつうの食べ物でとれないもの?」。答えはたいてい「食事でとれる」です。

流行その5:16時間断食・朝ごはん抜き

どんな投稿?「16時間何も食べない」「1日1食」「夜8時以降は絶対食べない」といった、食べる時間を極端にしぼる方法です。

成長期には向きません:大人を対象にした研究はありますが、それを成長期の子にそのまま当てはめることはできません。思春期は、骨の量が一生のうちでもっとも増える時期で、脳の発達、月経などホルモンの働き、身長の伸びと、どれもエネルギーと栄養が切れ目なく届くことを必要としています。国の食育推進基本計画でも、朝食を欠食する子どもをなくすことが目標に掲げられています。

また、長い時間食べない状態をつくると、そのあとに反動でたくさん食べてしまい、また抜く、というくり返しに陥りやすくなります。「食べない時間を延ばす」ことを目標にするより、朝・昼・夕と補食でエネルギーを届けるほうが、勉強にも部活にも力を出しやすくなります。部活と塾がある日の食べ方は中学生の思春期おやつ戦略で紹介しています。

流行その6:「とにかくたんぱく質」ブーム

どんな投稿?プロテインバー、プロテインドリンク、高たんぱくヨーグルト。コンビニにも並び、「たんぱく質をとるほど偉い」という空気すらあります。

考えたいこと:たんぱく質は成長期に欠かせない栄養素で、部活で体を動かす子は意識してとりたいものです。ただし日本人の食事摂取基準(2025年版)で示されている中高生の推奨量は、1日おおむね55〜65g程度。ご飯・魚や肉・卵・大豆製品・乳製品を毎食組み合わせれば、たいていは食事で届く量です。プロテイン製品を何本も重ねても、そのぶん成長が早まるわけではなく、ご飯や野菜を食べる余地が減ってしまうこともあります。

男の子では「もっと筋肉を」という思いが行き過ぎることがあり、女の子では「たんぱく質を優先しているだけ」という言葉の陰で、食べる量全体が減っていることもあります。量だけでなく、子どもの気持ちの変化にも目を向けましょう。製品の選び方は子ども向けプロテインバー比較にまとめています。

SNSの食情報を見きわめる力を育てる

子どもが見るものをすべて管理することは、いまの時代ほぼ不可能です。それよりも、自分で確かめる力を手渡すほうが、長い目で見て子どもを守ってくれます。

情報を確かめる4つのステップ(SIFT)

ステップ自分への質問たとえば
止まる信じる前にひと呼吸。いま自分はどう感じた?「これを見て、自分の食べ方を変えなきゃと焦った。なぜだろう」
発信者を調べるこの人は誰? 栄養の専門的な資格はある?「フォロワーは多いけど、管理栄養士でも医師でもない。サプリを売っている」
ほかの情報と比べる専門家や公的機関はどう言っている?「厚生労働省や農林水産省のページ、管理栄養士の解説を探してみる」
元をたどる「研究によると」の研究は、実際に見つかる?「研究で証明済みと言っているのに、どの研究かは一度も出てこない」

注意したい投稿のサイン

  • 「絶対食べてはいけない」「毒」「これだけで痩せる」など、言い切る言葉が多い
  • ビフォーアフター写真(光の当て方や姿勢、時間帯で簡単に変わります)
  • 紹介している商品の購入リンクや割引コードがある
  • 「医者は本当のことを言わない」と、公的な情報を否定する
  • 不安や恐怖をあおって行動させようとする
  • 短期間で劇的な変化を約束する
  • 栄養や医療の資格についての説明がない

フォローしたくなる、いい食の発信とは

否定ばかりではなく、「こういう発信なら一緒に見たいね」という基準を親子で持っておくと、子どもが自分でタイムラインを整えやすくなります。

  • 資格や立場がはっきりしている:管理栄養士、医師、大学の研究者など
  • 「人による」「多くの人にとっては」と言える:言い切らない人ほど、誠実なことが多いものです
  • PR表示がきちんとある:企業案件のときに隠さない
  • 「抜く」より「足す」提案:「これを足してみよう」という発想
  • 食べることを楽しんでいる:旬の食材、料理の工程、誰かと食べる時間を大切にしている

日本の料理動画には、季節の野菜の下ごしらえや、お弁当づくり、だしの取り方など、食べることそのものを楽しむ発信もたくさんあります。親子で「これおいしそう、週末作ってみる?」と話せる投稿を探すのも、楽しいメディアリテラシーの練習です。料理動画との上手なつきあい方は子供向け料理YouTubeチャンネルでも紹介しています。

子どもとどう話す? 会話のヒント

うまくいかないのは「そんなのウソに決まってる」「スマホばっかり見てないで」と一刀両断にするやり方。子どもは「どうせわかってくれない」と感じて、見ていることを話さなくなってしまいます。

うまくいきやすいのは、興味を持って聞き、一緒に調べ、考える力を育てるやり方です。

会話のきっかけ例

  • 「この前SNSでこんな話を見たんだけど、本当か一緒に調べてみない?」(調べる過程を見せる)
  • 「食べ物の動画を見て、自分の食べ方が嫌になることってある?」(責めずに扉を開ける)
  • 「この人、この商品を紹介していくらもらってるんだろうね」(お金の流れに気づくきっかけ)
  • 「最近見た食べ物の動画で、いちばんおもしろかったのは?」(子どもの世界に興味を持つ)
  • 「あなたの体はいま、骨も脳も作っている最中。流行よりも、ちゃんとした燃料が必要なんだよ」(自分の体の話につなげる)

こんな様子があれば、早めに相談を

食べる量が急に減った、体重が短期間で大きく変わった、月経が止まった、食べたあとに隠れて吐く、体型の話題に強く反応する、家族と一緒に食べるのを避ける。こうした変化が続くときは、SNSの話題とは切り離して、かかりつけの小児科や思春期外来、各地の摂食障害の相談窓口に相談しましょう。早く気づくことが、子どもを守るいちばんの近道です。思春期の体の変化と栄養は思春期の女の子の栄養、思春期の男の子の栄養も参考にしてください。

よくある質問

「1日の食事ルーティン」動画は、見せないほうがいいですか?

見ること自体を禁止する必要はありませんが、注意は必要です。こうした動画で紹介される量は、体の小さな大人の量であることが多く、中高生に必要なエネルギーには足りません。撮影していないときの食事は映らず、見た目のために盛りつけを小さくしていることもあります。「その人の1日を切り取った作品で、食事の見本ではない」と伝え、成長期の自分の体にはもっと燃料が必要だという視点を一緒に持てるようにしましょう。

栄養について発信している人が信頼できるか、どう見分ければいいですか?

管理栄養士や医師など、資格や立場がはっきりしているかをまず確認しましょう。そのうえで、体験談ではなく研究や公的機関の情報をもとに話しているか、「人による」と言える慎重さがあるか、自分の商品を売っていないか、PR表示を隠していないか、特定の食品群をまるごと否定していないかを見ます。「医者は本当のことを言わない」と公的な情報を否定する発信は、とくに慎重に受けとめましょう。

中高生が16時間断食や朝ごはん抜きをしても大丈夫ですか?

おすすめしません。大人を対象にした研究はありますが、成長期の子にそのまま当てはめることはできません。思春期は骨の量が大きく増え、脳やホルモンの働き、身長の伸びにもエネルギーと栄養が切れ目なく必要な時期です。長く食べない時間をつくると、反動でたくさん食べてまた抜く、というくり返しにもつながりやすくなります。朝・昼・夕の食事と補食でエネルギーを届けることを大切にしましょう。

デトックスティーや置き換えドリンクを試してみたいと言われたら?

成長期の子には勧められません。体には肝臓や腎臓など、不要なものを処理するしくみがもともと備わっていて、市販のデトックス商品がそれを上回るという根拠はありません。デトックスティーには便通をうながす成分を含むものが多く、センナの葉は日本では医薬品の成分として扱われています。食事を置き換えるドリンクも、成長に必要な栄養が不足する原因になります。試したい理由をまず聞いて、気持ちに寄り添いながら話し合いましょう。

SNSの食の情報について、子どもとどう話せばいいですか?

頭ごなしに否定するのではなく、興味を持って聞くところから始めましょう。「誰が言っている?」「その人の資格は?」「何かを売っている?」と、情報を確かめる質問を一緒に考えるのがおすすめです。おすすめ表示が似た動画ばかり流してくる仕組みや、PR表示の意味を話すのも役立ちます。「どっちが正しいか一緒に調べてみよう」というスタンスなら、子どもも話しやすくなります。この力は、食だけでなくあらゆる情報との向き合い方に生きてきます。

映えスイーツや大食い動画にはまっているのは心配ですか?

見た目がワクワクする食べ物を友だちと楽しむこと自体は、思春期の大切な楽しみです。気をつけたいのは、甘い飲み物や大きなスイーツが毎日の習慣になること。大食い動画は編集されたエンタメで、真似するものではないことも伝えておきましょう。好きな気持ちは否定せず、ヨーグルトと季節の果物でグラスパフェを一緒に作るなど、見た目の楽しさはそのままに甘さを自分で調整できる工夫を提案してみてください。

参考文献

タイプ別アドバイス

🏃 アクティブ派

部活で体を動かす子ほど「プロテイン」「〇〇抜き」の投稿が気になりがち。練習のある日は、補食におにぎりやバナナ、牛乳を用意して「動く日は食べる日」を合言葉に。SNSで見た方法を試したくなったら、まず顧問の先生や保健室、管理栄養士の話と比べてみる習慣をつけましょう。

🎨 クリエイティブ派

気になった食の投稿を1つ選んで、親子で「ファクトチェック」してみましょう。発信者、PR表示の有無、元の研究が見つかるかをノートにまとめれば、立派な自由研究に。映えスイーツが好きな子は、果物とヨーグルトで「甘さ控えめでも映える」オリジナルパフェを考えて撮影するのも楽しい工夫です。

😌 リラックス派

流行の食事法の話が出ても、すぐに正解を言わなくて大丈夫。「へえ、どんな動画?」と一緒に画面を見るところから始めましょう。夕食のときに「今日見ておもしろかった食べ物の動画」を話す時間をつくると、子どもが不安に思っていることにも自然に気づけます。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいています。個別の食事アドバイスについてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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