季節イベント

春分のフレッシュおやつ — 旬の食材で作る季節のトリーツ

3月20日ごろの春分の日。昼と夜の長さがほぼ同じになり、スーパーの売り場にもいちごや菜の花、グリーンピースが並びはじめます。「お彼岸だから、ぼたもちを買ってこようかな」で終わらせず、子どもと一緒に手を動かしてみると、季節の変わり目がぐっと身近になります。この記事では、お彼岸の行事食と春の旬食材を使った、見た目はワクワク・中身は甘さ控えめのおやつを紹介します。

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春分の日とお彼岸 — 子どもに伝えたい「旬」の話

春分の日は、祝日法で「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされている国民の祝日です。この日を「中日(ちゅうにち)」として前後3日ずつ、合わせて7日間が春のお彼岸。お墓参りをして、ぼたもちをお供えする家庭も多いでしょう。春は牡丹(ぼたん)にちなんで「ぼたもち」、秋は萩(はぎ)にちなんで「おはぎ」と呼び分ける、という説がよく知られています(呼び方は地域や家庭によってさまざまです)。

もうひとつ、春分のころに子どもと話したいのが「旬」のこと。ビタミンCの量は、品種や日当たり、収穫の時期、保存のしかたによって変わることがわかっています(Lee & Kader, 2000)。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年でも、ほうれんそうのビタミンCは「夏採り」と「冬採り」を分けて載せていて、冬採りのほうが多くなっています。旬の時期に旬のものを選ぶのは、「おいしい」と「栄養」の両方をとりやすい、いちばん手軽な選び方なのです。くわしくは旬の食材の栄養的メリットでも紹介しています。

ただし、春野菜には菜の花やアスパラガスのような「ほろ苦さ」があります。子どもは苦味に敏感で、苦い野菜を避けやすいことが知られています(Drewnowski & Gomez-Carneros, 2000)。だからこそ、いちごの甘酸っぱさやディップのまろやかさと組み合わせて、「おいしい入口」を用意してあげるのがコツです。

1. ぼたもち(春のお彼岸のおはぎ)

春分の日といえば、やっぱりぼたもち。炊いたお米を半分だけつぶして、あんこで包むだけなので、子どもにも任せやすい和菓子です。すりこぎでお米をつぶす作業は、小学生なら喜んで引き受けてくれます。

材料(10〜12個分)

材料分量
もち米200g
うるち米(ふだんのお米)100g
水炊飯器の目盛りに合わせる(目安330〜350ml)
塩ひとつまみ
つぶあん300g
アルロース20g(甘さ控えめ・無糖のあんを使うときにあんに混ぜる)

作り方:もち米とうるち米を合わせて洗い、30分以上浸水させてから炊飯器で炊きます。熱いうちに、水でぬらしたすりこぎで米粒が半分ほど残るくらいまでつぶします(この状態を「半殺し」と呼びます)。10〜12等分して俵形にまとめ、手のひらに広げたあんで包めばできあがり。

もち米だけでなくうるち米を混ぜると、もちもちしながらも歯切れがよくなり、子どもでも食べやすい食感になります。市販のあんこは砂糖が多めなので、甘さ控えめのあんや無糖のゆであずきにアルロースを足して、甘さを調整するのがおすすめ。あずきは食物繊維をしっかり含む食材です。秋のお彼岸用にはきなこおはぎのレシピもあります。

小さな子への注意:もち米は粘りが強く、のどに詰まりやすい食品です。小さな子には一口よりさらに小さく切り分け、座って、ひと口ずつよくかんで食べるよう大人がそばで見守ってください。年齢ごとの目安は幼児の窒息予防 — おやつの形状とサイズガイドにまとめています。

2. いちごとベビーリーフのサラダカップ

春の主役はなんといってもいちご。透明なカップに盛るだけで、テーブルが一気に春色になります。砂糖を加えなくても、いちごの甘酸っぱさで十分おいしい一品です。

  • いちご — 300g(へたを取って4等分)
  • ベビーリーフ(またはサラダほうれんそう) — 100g
  • ミントの葉 — 15〜20枚(ちぎる)
  • きゅうり — 1本(角切り)
  • カッテージチーズ — 50g
  • バルサミコ酢 — 大さじ2
  • オリーブオイル — 大さじ1
  • アルロース — 小さじ1(バルサミコ酢に溶かす)
  • 黒こしょう — 少々(子ども用は省略)

作り方:いちご、ベビーリーフ、きゅうり、ミントをそっと混ぜ、カッテージチーズを散らします。バルサミコ酢・オリーブオイル・アルロースを混ぜたドレッシングをかけ、小さなカップに分けて。6人分です。酸味が苦手な子には、ドレッシングを別添えにして「自分でかける」形にすると手が伸びやすくなります。

いちごはビタミンCを多く含む果物。ビタミンCには、ほうれんそうなどの植物性食品に含まれる鉄(非ヘム鉄)の吸収を助ける働きがあります。いちごと葉物をいっしょに食べるこの組み合わせは、成長期の子どもにうれしいペアなのです。

3. グリーンピースとミントのディップ

春から初夏にかけて出回る生のグリーンピース(関西では「うすいえんどう」も人気)は、さやから出すお手伝いが子どもに大人気。鮮やかな緑色のディップにすると、豆の自然な甘みで甘味料なしでもおいしく仕上がります。

  • グリーンピース(生または冷凍) — 300g(生なら2分ゆでる)
  • ひよこ豆(水煮缶、水気を切る) — 200g
  • 白練りごま — 大さじ2
  • レモン汁 — 大さじ2
  • にんにく — 1かけ(子ども向けには半量でも)
  • ミントの葉 — 10枚
  • オリーブオイル — 大さじ2
  • 塩 — 小さじ1/2

作り方:すべての材料をフードプロセッサーでなめらかになるまで攪拌します。ディップ用の野菜は、さっとゆでたアスパラガスやスナップえんどう、薄切りのラディッシュ、全粒粉クラッカーなど。小さな子には、かたい生野菜は避けて、やわらかくゆでたものを細長く切って添えましょう。

豆類は、たんぱく質と食物繊維をいっしょにとれるのが魅力。グリーンピースは春の和食でも、豆ごはんやお弁当の彩りとしておなじみの旬食材です。

4. アスパラガスの焼きフライ + レモンヨーグルトディップ

国産の露地アスパラガスが出回るのは春から初夏。パン粉をまぶしてオーブンで焼けば、揚げずにカリッとした「フライ風」に。手でつまめるので、野菜が苦手な子もポテトフライ感覚で手を伸ばします。

材料(4人分)

  • アスパラガス(太めのもの) — 20本(根元のかたい皮をピーラーでむく)
  • 卵 — 2個(溶いておく)
  • パン粉 — 100g
  • 粉チーズ — 30g
  • ガーリックパウダー — 小さじ1/2
  • 塩・こしょう — 各少々
  • オリーブオイル — 適量(スプレーか刷毛で)

レモンヨーグルトディップ:水切りヨーグルト120g、レモン汁大さじ1、すりおろしたレモンの皮小さじ1、塩少々を混ぜます。あればディル少々を加えても。

作り方:パン粉・粉チーズ・ガーリックパウダー・塩・こしょうを混ぜておきます。アスパラガスを溶き卵にくぐらせてからパン粉をまぶし、オーブンシートを敷いた天板に並べてオリーブオイルをかけます。220℃に予熱したオーブンで12〜15分、きつね色になるまで焼きます。オーブントースターなら1000W前後で7〜10分が目安。焦げそうなときはアルミホイルをかぶせてください。

アスパラガスは葉酸を含む野菜のひとつ。葉酸は、体の細胞がどんどん増える成長期に欠かせないビタミンです。ちなみにアミノ酸の「アスパラギン」は、19世紀のはじめにアスパラガスから初めて取り出されたことが名前の由来。食べながら話すと、子どもが意外と食いつく豆知識です。

5〜8. 春分のテーブルを彩る、さらに4品

5. 桜のピンクレモネード

桜の花の塩漬け6輪を水に10分ほどつけて塩抜きし、炭酸水800ml、レモン汁(レモン4個分)、アルロース40gと合わせます。つぶしたいちごを数粒加えると、ほんのりピンクに。グラスに桜の花を浮かべれば、お花見気分の一杯になります。炭酸が苦手な子には、炭酸水の代わりに水で作ってください。6人分です。桜のおやつは桜のおやつ特集や桜もちレシピガイドでも紹介しています。

6. 春の「たね」クラッカー

ひまわりの種、かぼちゃの種、白いりごま、チアシードを各50g、水100ml、塩小さじ1/2、乾燥ハーブ小さじ1を混ぜて10分おきます。オーブンシートの上に薄く広げ、160℃のオーブンで35〜40分、カリッとするまで焼いたら、手で好きな形に割って完成。「たねから芽が出る季節に、たねを食べよう」という話のきっかけにもなります。かたい粒が多いので、奥歯でしっかりかめる年齢になってから。小さな子にはすりごま中心のものにアレンジしましょう。

7. 春の柑橘ヨーグルトパフェ

甘夏、はっさく、デコポンなど、春は柑橘のおいしい季節でもあります。柑橘2個分の果肉を薄皮から外し、プレーンヨーグルト300gにアルロース小さじ2を混ぜたものと交互にグラスに重ね、甘さ控えめのグラノーラを少しのせます。柑橘の酸味とヨーグルトのまろやかさで、「甘い」だけではない、甘酸っぱさのバランスを味わえます。小さな子には薄皮をきれいに取ってから。

8. 春の花畑プレート

大きなお皿やまな板に、いちご、キウイ、柑橘、ゆでたスナップえんどう、角切りのチーズ、全粒粉クラッカー、エディブルフラワーを、花畑のようにかたまりごとに並べます。エディブルフラワーは必ず食用として売られているものを使い、観賞用の花は飾りにも使わないでください。学校の家庭科で習う「三色食品群(赤・黄・緑)」を合言葉に、子どもに自分のお皿を作ってもらうと、自然といろいろな食材をとることに。さまざまな色の野菜や果物を組み合わせて食べることで、多様な成分をいっしょにとれると考えられています(Liu, 2003)。ぶどうやミニトマトを加えるときは、小さな子には4等分にしてください。

春分の日に、子どもと一緒にしたいこと

食べることと同じくらい、「季節を感じる体験」も大切です。春分の日の過ごし方のヒントをいくつか。

種をまく:春分のころは種まきにぴったり。ベランダのプランターでも、はつか大根やバジル、ミニトマトの苗なら手軽に始められます。自分で育てた野菜は、苦手でも「ひと口食べてみようかな」と思えるもの。ベランダ菜園→おやつで、育てて食べる食育のアイデアを紹介しています。

春さがし散歩:つくし、たんぽぽ、桜のつぼみ、ツバメ、モンシロチョウ。小学校の生活科や理科でも季節の観察をしますが、家族で歩きながら見つけたものをノートに描いたり書いたりするだけで、立派な自然観察になります。

卵を立ててみる:「春分の日には卵が立つ」という言い伝えがありますが、実はコツと根気があればどの日でも立ちます。指先の感覚を使う遊びとして、春分の日の話をしながら挑戦してみて。

お墓参りやご先祖さまの話:お彼岸にお墓参りに行くなら、ぼたもちをお供えした理由や、家族の昔話をするのもいい時間。「いただきます」に込められた感謝の気持ちを伝えるきっかけになります。

冬から春へ — 成長期の体にうれしい食べ方

日照時間が短い冬は、外で過ごす時間も減りがち。ビタミンDは日光を浴びることで体内でもつくられるため、春は外遊びを増やすのにちょうどいい季節です。また、成長期の子どもは鉄の必要量が多く、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも年齢ごとの推奨量が示されています。

この記事のおやつは、こうしたポイントを無理なく押さえられるように組み合わせています。アスパラガスやグリーンピースからは葉酸、いちごや柑橘からはビタミンC、ヨーグルトのディップからはカルシウムとたんぱく質、ごまやかぼちゃの種からはミネラル。果物や野菜をたっぷりとることは、体のさまざまな面を支える土台になると報告されています(Slavin & Lloyd, 2012)。

大切なのは「体にいいから食べなさい」ではなく、「春っておいしいね」と一緒に感じること。季節ごとの食べものの楽しみ方は、冬至のほっこりおやつなど、ほかの季節の記事でも紹介しています。

タイプ別アドバイス

🏃 アクティブ派

外遊びのあとは、小さめのぼたもち1個と麦茶で夕飯までのつなぎに。もち米の炭水化物でエネルギーを、あずきで食物繊維をとれます。グリーンピースディップとゆでたスナップえんどうを添えれば、たんぱく質も一緒に補えます。

🎨 クリエイティブ派

いちご・菜の花・グリーンピースを絵の具に見立てて「春色プレート」をデザインしてみましょう。三色食品群の赤・黄・緑をそろえるのがルール。春さがし散歩で見つけた花や虫を絵日記にして、プレートの写真と並べれば春の自由研究にも。

😌 リラックス派

ぼたもちの「半殺し」は、すりこぎでつぶすだけの気楽な作業。ソファから台所へ誘う最初の一歩にぴったりです。桜のピンクレモネードを飲みながら、お彼岸やぼたもちの名前の由来をのんびり話す時間を作ってみて。

よくある質問

春分の日とお彼岸は、どんな日ですか?

春分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、「自然をたたえ、生物をいつくしむ」国民の祝日です。春分の日を中日として前後3日ずつ、合わせて7日間が春のお彼岸。お墓参りをして、ぼたもちをお供えする習慣があります。

春分のころに旬を迎える食材は何ですか?

いちご、菜の花、春キャベツ、新たまねぎ、たけのこ、アスパラガス、スナップえんどう、グリーンピース、甘夏などの柑橘が代表的です。地域や品種によって出回る時期は前後するので、売り場で「今いちばん多く並んでいるもの」を目安に選ぶと旬をつかみやすくなります。

ぼたもちは何歳から食べられますか?

公的に決まった年齢はありませんが、もち米は粘りが強く、のどに詰まりやすい食品です。かむ力・飲み込む力が十分に育つまでは控えめにし、食べるときは一口よりさらに小さく切り分け、座って、大人が見守る中でよくかんで食べるようにしましょう。

春野菜を子どもが食べてくれません。どうしたらいいですか?

菜の花やアスパラガスのほろ苦さは、子どもが苦手に感じやすい味です。ディップを添える、いちごなど甘酸っぱい果物と組み合わせる、パン粉焼きにして手でつまめる形にする、といった工夫がおすすめ。グリーンピースをさやから出す、野菜を洗うなど、調理に参加してもらうのも効果的です。

生の食材が手に入らないときは、冷凍でもいいですか?

はい。冷凍のグリーンピースやほうれんそう、いちごは、旬に収穫したものを急速冷凍しているものが多く、ディップやスムージーに便利です。一方、アスパラガスは冷凍すると食感が変わりやすいので、焼きフライには生のものがおすすめです。

旬のものを食べると、栄養面でいいことはありますか?

ビタミンCなどの量は、収穫時期や栽培条件で変わることが知られています。日本食品標準成分表でも、ほうれんそうのビタミンCは夏採りより冬採りのほうが多く掲載されています。季節ごとに食材が入れ替わるので、旬を意識すると一年を通していろいろな食材をとりやすくなるのもメリットです。

参考文献

この記事は2026年10月時点の情報に基づいています。個別の食事アドバイスについてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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