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ティーンのエナジードリンクの危険性 — カフェインの科学と代替案

「部活の前にコンビニで1本」「テスト前の夜はこれがないと無理」——中学生・高校生の間で、エナジードリンクはもうめずらしいものではなくなりました。カラフルな缶はかっこよく、友だちも飲んでいる。親としては「体によくなさそう」と感じつつ、何がどう問題なのかをうまく説明できず、もやもやしている方も多いのではないでしょうか。この記事では、カフェインが10代の体に与える影響を日本の公的情報と研究から整理したうえで、頭ごなしに禁止するのではなく、子ども自身が「選べる」ようになるための話し方と、代わりになる飲み物・おやつを紹介します。

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エナジードリンクには何が入っている?

エナジードリンクは、炭酸飲料にカフェインを足しただけのものではありません。カフェインに加えて、糖類、アミノ酸、ハーブ由来の原材料、ビタミンB群などが組み合わされています。日本で売られているエナジードリンクの多くは「清涼飲料水」、つまり食品の扱いです。薬局やコンビニのレジ横に並ぶ「栄養ドリンク」の多くは指定医薬部外品で、見た目は似ていても制度上は別のものです。

よく使われる原材料と、10代で気をつけたいこと

原材料主な役割10代で気をつけたいこと
カフェイン眠気を感じにくくする中枢神経の刺激製品によって量の差が大きい。眠り・不安感・心拍への影響が出やすい
糖類(砂糖・果糖ぶどう糖液糖など)すぐ使えるエネルギー源1本で多くの砂糖をとることになる製品も。血糖値が急に上がって下がりやすい
アルギニンなどのアミノ酸「元気」のイメージを支える成分として配合食事からとれる量を超えて足す必要は、成長期の子どもにはほとんどない
ガラナ抽出物植物由来の原材料ガラナにもカフェインが含まれる。原材料名だけでは量がわからない
ビタミンB群エネルギー代謝に関わるふだんの食事で足りていれば、飲み物で上乗せする意味は小さい

海外のエナジードリンクにはタウリンが入っているものが多いのですが、日本ではタウリンは医薬品の成分として扱われるため、清涼飲料水のエナジードリンクには使われず、アルギニンなどが代わりに使われることが一般的です。海外旅行のおみやげや個人輸入の製品は、日本の製品と中身が違うことがある点も知っておきましょう。

カフェインの量は「表示を見ないとわからない」

日本では、清涼飲料水のカフェイン量の表示は義務ではありません。缶に「カフェイン○mg」と書いてある製品もあれば、原材料名に「カフェイン」とあるだけの製品もあります。同じブランドでも、缶の大きさや「ストロング」などのシリーズによって量が変わることがあります。子どもと一緒に、成分表示のどこを見ればいいかを確認しておくと、自分で判断する力になります。

10代の体とカフェイン — 何が起きやすいのか

「どれくらいまでならいいの?」の目安

日本では、カフェインの1日の摂取許容量は設定されていません。食品安全委員会は、海外の機関が示している目安を紹介しています。たとえばカナダ保健省は、10〜12歳で1日85mgまで、13歳以上の子どもでは体重1kgあたり1日2.5mgまでを目安としています。体重50kgの中学生なら、1日125mgほどが上限の目安になる計算です。

ここで大事なのは、エナジードリンク1本だけで考えないことです。ペットボトルのお茶、コーヒー牛乳、コーラ、チョコレートなど、カフェインは毎日の飲み物やおやつにも少しずつ入っています。エナジードリンクを1本飲んだ日は、それだけで目安の大部分に届いてしまうこともあります。

眠りへの影響

カフェインは、とってから数時間たっても体の中に残ります。夕方の部活帰りに飲んだ1本が、寝る時間になってもまだ効いている、ということは珍しくありません。しかも思春期は、体内時計が後ろにずれて夜型になりやすい時期です。睡眠不足は10代の学業や気分、事故のリスクとも関係することが総説で整理されています(Owens et al., 2014)。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学生・高校生の睡眠時間の目安は8〜10時間です。眠いからエナジードリンクを飲み、そのせいで夜眠れず、翌日また眠い——この悪循環がいちばんの落とし穴です。

不安感・イライラ・「やめると頭が痛い」

子ども・10代のカフェイン摂取についての総説では、カフェインのとりすぎは睡眠の乱れのほか、不安感や落ち着かなさとも関連すると報告されています(Temple, 2019)。毎日とる習慣がつくと、飲まない日に頭痛やだるさ、集中しにくさが出ることがあり、「飲むとすっきりする」と感じるのは、実は離脱症状が消えているだけ、という場合もあります。

心臓と血圧への負担

健康な若い成人を対象にしたランダム化比較試験では、エナジードリンクを飲んだときのほうが、同じ量のカフェインだけを飲んだときよりも、心電図のQT間隔(心臓のリズムに関わる指標)や血圧の変化が大きかったと報告されています(Shah et al., 2019)。大人での研究ですが、カフェイン以外の成分との組み合わせにも注意が必要であることを示しています。子ども・若者のエナジードリンクと健康影響を整理した総説でも、動悸や不整脈などの報告がまとめられています(Seifert et al., 2011; Higgins et al., 2010)。心臓の病気や不整脈を指摘されたことがある子、ADHDなどで薬を飲んでいる子は、特に主治医に確認しておきましょう。

国内でも起きている「とりすぎ」

厚生労働省は「食品に含まれるカフェインの過剰摂取」について注意を呼びかけています。国内でも、エナジードリンクやカフェインの錠剤などを短い時間にまとめてとったことによる救急搬送や、亡くなった例が報告されています。特に、眠気覚ましの錠剤とエナジードリンクを重ねて使うと、本人が思っている以上の量になりがちです。めったに起きることではありませんが、「飲み物だから大丈夫」とは言い切れないことは、子どもにも伝えておきたいポイントです。

部活の前の1本は、とくに慎重に

運動中は、それだけで心拍数も血圧も上がります。そこに刺激の強い飲み物を重ねると、心臓にかかる負担はさらに大きくなります。アメリカ小児科学会は、スポーツドリンクとエナジードリンクをはっきり分けたうえで、エナジードリンクは子ども・10代には適さないとしています(American Academy of Pediatrics, 2011)。

  • ふだんの部活:水か麦茶で十分。こまめに飲むことがいちばん大切です
  • 真夏の練習や長時間の試合:汗で失われる塩分も補えるスポーツドリンクや経口補水液を。エナジードリンクは水分補給の代わりにはなりません
  • 試合前の「気合い」:1〜2時間前のおにぎりやバナナのほうが、エネルギー源として役立ちます

試合当日の補食の組み立てはティーンエイジャーのおやつ選びガイド、水分のとり方は子どもの脳機能と水分補給でくわしく紹介しています。

お茶・コーヒーと比べると?カフェイン量の目安

日本の家庭でおなじみの飲み物にも、カフェインは含まれています。「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の値をもとに、よく飲む量に換算した目安をまとめました。

飲み物100mlあたりよくある量1杯・1本あたり(約)
麦茶0mgコップ1杯200ml0mg
せん茶約20mg湯のみ1杯150ml約30mg
ほうじ茶約20mg湯のみ1杯150ml約30mg
ウーロン茶約20mgペットボトル500ml約100mg
紅茶約30mg1杯150ml約45mg
コーヒー約60mg1杯150ml約90mg
玉露約160mg小さな湯のみ60ml約100mg
エナジードリンク製品によって大きく異なります。缶の表示で必ず確認を

ペットボトルのお茶は量が多い分、1本飲み切るとそれなりのカフェインになります。「お茶をよく飲む日はエナジードリンクはなし」「夕方以降は麦茶」のように、1日の合計で考える習慣をつけると、子どもも自分で調整しやすくなります。日本茶とカフェインの付き合い方は子どもの発達中の脳とカフェインにもまとめています。

どうしてエナジードリンクに手が伸びるのか

禁止するだけでは、見えないところで飲むようになるだけ、ということも少なくありません。理由がわかれば、代わりの手立ても見えてきます。

理由1:とにかく眠い

朝練、授業、部活、塾、宿題、そして寝る前のスマホ。10代の毎日は、睡眠時間が削られやすい構造になっています。必要なのはカフェインではなく、眠る時間の確保です。夜のスマホの置き場所を決める、塾のある日の夕食と夜食の時間を見直すなど、家族で動かせるところから見直してみましょう。

理由2:テスト勉強

テスト前の夜ふかしと一緒にエナジードリンクを飲む子は多いもの。でも、覚えたことを記憶として定着させるのは眠っている間です。「睡眠も勉強のうち」と伝え、勉強のおともは麦茶と軽いおやつに。受験期の1日の流れは受験期の「崩れない1日ルーティン」、勉強中のおやつは受験シーズンの勉強おやつガイドを参考にしてください。

理由3:部活でパフォーマンスを上げたい

「プロの選手も飲んでいる」というイメージから手に取る子もいます。けれど、成長期の体を動かす燃料はまず食事です。練習前後の補食と水分補給を整えるほうが、ずっと確実に力を出せます。

理由4:友だち・SNS・広告

エナジードリンクは、ゲーム実況やeスポーツ、エクストリームスポーツのイベントなど、10代が好きな場所で上手に宣伝されています。「なぜこの年代に向けて広告を出しているんだろう?」と一緒に考えることは、食べ物や飲み物の広告を読み解く力を育てるきっかけにもなります。

とりすぎのサインと、気づいたときの声のかけ方

こんな様子があったら

  • 疲れているのに寝つけない、夜中に目が覚める
  • そわそわして落ち着かない、不安が強くなった
  • 動悸がする、心臓がドキドキするのを気にしている
  • 飲まない日に頭痛がする、イライラする
  • 「飲まないと普通に動けない」と感じている
  • 胃の痛みや吐き気、お腹をこわすことが増えた
  • 部屋やかばんに空き缶がたまっている、おこづかいの多くを使っている

動悸や胸の痛み、息苦しさ、手のふるえが強いときは、様子を見すぎずにすぐ医療機関に相談してください。

毎日飲んでいるとわかったら

問い詰めるような言い方は、隠れて飲むきっかけになりがちです。次の順番を意識してみてください。

  1. 責める前に、まず聞く:「最近よく飲んでるね。どんなときに飲みたくなる?何の助けになってる?」
  2. お説教ではなく、情報をシェアする:「10代の体はカフェインの影響を受けやすいって記事を読んだんだけど、ちょっと聞いてみる?」
  3. 原因を一緒に考える:眠さなら寝る時間の見直し、テストなら勉強のやり方、友だちや広告の影響なら「なぜ流行っているのか」を話してみる
  4. 代わりを用意する:麦茶のボトル、炭酸水、手軽な補食など、「飲む・食べる」習慣そのものは残せる選択肢を
  5. 少しずつ減らす:毎日飲んでいた場合、急にやめると頭痛やだるさが出やすくなります。1〜2週間かけて本数を減らしていくほうが続きやすくなります

エナジードリンクの代わりに — 飲み物とおやつのアイデア

本当の「元気」は、睡眠・食事・水分・体を動かすことの積み重ねから生まれます。ここでは、エナジードリンクを飲んでいた「タイミング」をそのまま置き換えられるアイデアを集めました。

飲み物

  • 麦茶・水:カフェインなしで、部活中も勉強中も気にせず飲めます。軽い脱水でもだるさや集中しにくさを感じやすくなるので、まずはこまめな水分補給から
  • 炭酸水+レモンや果汁少し:「シュワっとした特別な1本」がほしい気分を満たしてくれます。甘さは自分で調整できます
  • 牛乳・飲むヨーグルト:たんぱく質とカルシウムもとれる、成長期向きの飲み物。部活帰りにもぴったりです
  • きな粉ミルク:牛乳か無調整豆乳にきな粉を小さじ2ほど。香ばしく、腹持ちもよくなります
  • せん茶・抹茶:カフェインを含むので「午後の早い時間に1杯」など量と時間を決めて。夕方以降は麦茶に切り替えましょう。おうちで作るならアルロースの抹茶ラテも楽しめます

小腹とエネルギーを支えるおやつ

  • おにぎり:部活前や塾の前のエネルギー補給の定番。鮭や梅、ツナなど具を変えて
  • バナナ+ヨーグルト:すぐ使えるエネルギーとたんぱく質を一度に
  • ゆで卵・チーズ:コンビニでも買える、たんぱく質の補食
  • 小魚アーモンド:カルシウムとかみごたえで満足感アップ
  • 焼きいも・ふかしいも:自然な甘さで、甘いお菓子の代わりにも

日本のお茶文化と、上手につきあう

日本には、勉強のおともに温かいお茶を飲む文化があります。緑茶にはカフェインとともにテアニンというアミノ酸も含まれ、ほっとする時間をつくってくれます。ただし、お茶もカフェインを含む飲み物であることに変わりはありません。「急須でいれた1杯をゆっくり飲む」のは、勉強の合間の休憩にもなるよい習慣。一方で、大きなペットボトルを何本も飲めば、量はそれなりになります。お茶の楽しみ方は子ども向け抹茶おやつガイドも参考にしてください。

子どもと話すときのヒント

いちばん届きやすいのは、「危ないから飲むな」ではなく、子どもの考える力を信頼した会話です。

  • 体の感覚から聞いてみる:「飲んですぐと、2時間後と、どんな感じ?」——多くの子が、あとでどっと疲れる感覚に気づいています
  • パフォーマンスの話にする:「よく寝た日のほうが、試合でもテストでも力が出るらしいよ。覚えたことは寝ている間に整理されるんだって」
  • 広告について考える:「どうしてゲームやスポーツのイベントでこんなに宣伝しているんだと思う?」
  • 最後は本人に任せる:「何を飲むかは自分で決めていい。ただ、広告が言わないことも知ったうえで選んでほしい」

中学生の補食やコンビニでの選び方は中学生の思春期おやつ戦略でも紹介しています。

よくある質問

中学生・高校生は、1日にどれくらいまでカフェインをとっていいですか?

日本ではカフェインの1日の摂取許容量は設定されていません。食品安全委員会が紹介している海外の目安では、カナダ保健省が10〜12歳で1日85mgまで、13歳以上の子どもでは体重1kgあたり1日2.5mgまでとしています。体重50kgなら1日125mgほどが目安です。エナジードリンクは製品によってカフェイン量の差が大きく、1本で目安の大部分に届くこともあります。お茶やコーヒー、コーラなども含めた1日の合計で考えましょう。

エナジードリンクで心臓に負担がかかることはありますか?

あります。健康な若い成人を対象にした研究では、エナジードリンクを飲んだときのほうが、同じ量のカフェインだけのときよりも心電図や血圧の変化が大きかったと報告されています。運動中は心拍数や血圧がもともと上がっているため、部活の前や試合中に飲むのは避けましょう。心臓の病気を指摘されたことがある子や、薬を飲んでいる子は特に注意が必要です。動悸や胸の痛みが出たときは、すぐに医療機関に相談してください。

「糖類ゼロ」や「カロリーゼロ」のエナジードリンクなら安心ですか?

糖類が少ない分、砂糖のとりすぎは避けられますが、カフェインやほかの原材料はふつうのものと同じように入っています。眠り・不安感・心臓への影響で気をつけたいのは主にカフェインなので、「ゼロ系だから大丈夫」とは言えません。カフェイン量の表示を確認し、できるだけ麦茶や水、炭酸水などを選ぶのがおすすめです。

栄養ドリンクとエナジードリンクは何が違うのですか?

日本では、エナジードリンクの多くは清涼飲料水、つまり食品として売られています。一方、薬局などで売られている栄養ドリンクの多くは指定医薬部外品で、用法・用量が決められています。どちらにもカフェインを含む製品があり、栄養ドリンクには対象年齢が決められているものもあります。子どもが飲む前に、表示の用法やカフェイン量を一緒に確認しましょう。

疲れている子には、何をすすめればいいですか?

まず、疲れの原因を一緒に探すことからです。10代の疲れでいちばん多いのは睡眠不足なので、寝る時間とスマホの使い方を見直してみましょう。食事を抜いていないか、部活の前後に補食がとれているかも大切です。飲み物は麦茶や水、牛乳、炭酸水などを、おやつはおにぎり、バナナとヨーグルト、ゆで卵などがおすすめです。疲れやすさが長く続く場合は、鉄不足などが隠れていることもあるので、小児科で相談してください。

テスト前の夜、エナジードリンクで頑張りたいと言われたらどうすればいいですか?

頭ごなしに否定せず、「頑張りたい気持ち」はまず受け止めましょう。そのうえで、覚えたことは眠っている間に記憶として定着すること、夜のカフェインは寝つきを悪くして翌日の集中力を下げやすいことを伝えてみてください。夜は早めに切り上げて、朝に見直す時間をつくる、勉強のおともは麦茶と軽いおやつにするなど、具体的な代わりの作戦を一緒に考えるのがおすすめです。

参考文献

タイプ別アドバイス

🏃 アクティブ派

部活前に「気合いの1本」を飲む習慣があるなら、その時間をおにぎりやバナナ+麦茶に置き換えてみましょう。練習1〜2時間前の補食のほうが、エネルギー源として長く役立ちます。真夏の長い練習は、エナジードリンクではなくスポーツドリンクや経口補水液で塩分と水分を。

🎨 クリエイティブ派

家にある飲み物の缶やペットボトルを並べて、カフェイン量と糖類の表示を調べる「成分表示たんてい」をやってみましょう。表示がない製品はどれか、1日の合計はどのくらいになるかを表にすると、自分で選ぶ目が育ちます。お気に入りの炭酸水アレンジを考えるのも楽しい工夫です。

😌 リラックス派

「飲まないと頑張れない」と感じるほど疲れている気持ちを、まずは受け止めてあげてください。夜はスマホを早めに置いて、湯船につかり、寝る前は麦茶やホットミルクでひと息。しっかり眠れた朝の軽さを一度体験すると、自然とエナジードリンクに頼る回数が減っていきます。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいています。個別の食事アドバイスについてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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