スクリーン時間と食行動 — 17歳以下の系統的レビュー

Smart Treats 編集部 2026年4月8日 コラム
すべての方におすすめ ワーママにも

夕方、やっと仕事が終わってお迎えに行く。帰宅後、夕飯の準備をしている間に子どもが静かになったと思ったら、YouTubeを見ながらポテトチップスの袋に手を突っ込んでいる。

「やめなさい」と言いたいけど、動画を見せている間に夕飯を仕上げたいのも本音。この「ながらおやつ」って、どこまで気にすべきなの?

2025年に発表された系統的レビューが、0〜17歳の子ども・若者のスクリーン利用と食行動の関係を16の研究から整理しました。結論は「スクリーンそのものが悪い」ではなく、スクリーンの種類と使い方によって影響が大きく違うという、少しホッとする話です。

もくじ
  1. 16研究の系統的レビューが示すこと
  2. SNS・テレビ・ゲーム — スクリーン種類で変わる影響
  3. 直接効果か、二次的影響か — メカニズムを整理する
  4. 年齢別・スクリーンとおやつのルール作り
  5. 今日からできる「おやつタイム」の設計
  6. よくある質問

1. 16研究の系統的レビューが示すこと

2025年にFrontiers in Psychology誌に発表された系統的レビューは、0〜17歳の子ども・若者を対象に「スクリーン利用時間と食行動の関連」を調べた16の研究を統合的に分析しました。

系統的レビュー(2025年)の概要 出典: Frontiers in Psychology (2025) "Screen time and eating behaviors in children and adolescents: A systematic review" — doi:10.3389/fpsyg.2025.1649571

ここで大切なのは、「スクリーン=悪」という単純な構図ではなかったことです。16研究を横断的に見ると、影響の大きさや方向はスクリーンの種類、年齢、使用時間帯によってかなりばらつきがありました。

つまり、「テレビもYouTubeもゲームも全部ダメ」ということではなく、何を・いつ・どのくらい使っているかが問題です。

「系統的レビュー」とは? ある研究テーマに関する複数の論文を、明確な基準で網羅的に集めて分析する手法です。1つの研究だけでは見えにくい傾向を、複数の研究を俯瞰することで浮かび上がらせることができます。個別の研究よりもエビデンスの信頼性が高いとされています。

2. SNS・テレビ・ゲーム — スクリーン種類で変わる影響

このレビューの最も興味深い発見は、スクリーンの種類によって食行動への影響経路が異なるという点です。「スクリーンタイム」という一括りの数字だけでは見えない、質の違いがあります。

スクリーンの種類 食行動への主な影響経路 特に注意が必要な場面
SNS(Instagram, TikTokなど) 食品広告・インフルエンサーの投稿を通じて、高糖質・高脂質食品への欲求を刺激。ボディイメージへの影響から過食・拒食のリスクも。 思春期の子ども(10歳以上)。食に関する投稿を頻繁に目にする場合。
テレビ 受動的な視聴中の「ながら食べ」を誘発。満腹感への意識が低下し、無自覚に食べ過ぎる傾向。食品CMへの反復曝露も影響。 食事中・おやつ時間にテレビがついている家庭。幼児期は特に影響大。
ゲーム 長時間の没頭による食事時間のずれ、興奮状態で食べるため満腹感に鈍感になる。ストレス性の間食が増えるケースも。 オンラインゲームで食事を後回しにしがちな中高生。
教育系コンテンツ レビュー内では食行動への悪影響は限定的。受動的視聴と能動的利用の差が指摘されている。 ただし時間が長引くと、上記と同様のパターンに移行する可能性あり。

注目すべきは、SNSとテレビでは影響のメカニズムが根本的に違うという点です。テレビは「ぼんやり食べ続ける」タイプの問題を引き起こしやすく、SNSは「食べたい気持ちを煽られる」タイプの問題に関連しています。

「食品広告」の存在が見過ごせない

レビューでは、スクリーンを通じた食品広告の影響も複数の研究で指摘されています。テレビCMだけでなく、YouTubeの動画広告、SNSでのインフルエンサーマーケティングなど、子どもが目にする食品広告の形は多様化しています。

子どもは大人に比べて広告の意図を見抜く力が未発達です。特に幼児は「これは自分に買わせようとしている」と気づくことが難しく、カラフルなパッケージや楽しそうな映像がそのまま「食べたい」という欲求につながりやすいとされています。

3. 直接効果か、二次的影響か — メカニズムを整理する

このレビューで重要な指摘がもう一つあります。それは、スクリーン利用が食行動に影響するルートは一つではないということです。

直接的な影響

二次的な影響(間接ルート)

「スクリーンのせい」と決めつけない 系統的レビューの著者も強調しているように、スクリーン利用と食行動の関連は「相関」であり「因果」ではありません。スクリーンを減らせば食行動が自動的に改善するとは限らず、睡眠環境や家庭の食卓文化など、複数の要因を総合的に見る必要があります。

この「間接ルート」の発見は、実は希望のある話です。なぜなら、スクリーン時間を無理に減らさなくても、睡眠を整える・食事環境を整えるという別のアプローチで食行動を改善できる可能性があるからです。

4. 年齢別・スクリーンとおやつのルール作り

レビューの知見と各国の小児科ガイドラインを踏まえ、年齢別の目安を整理しました。「〇時間まで」という数字だけでなく、食事・おやつの場面に焦点を当てた実践ルールを提案します。

年齢 スクリーンの目安 おやつタイムのルール 親のアクション
0〜2歳 WHO推奨: スクリーンなし(ビデオ通話は除く) 食事・おやつ中は画面を見せない 親もスマホを置く。子どもは親の行動を真似る時期。
3〜5歳 1日1時間以内が目安 おやつは食卓で。テレビを消してから「いただきます」 おやつを小皿に盛って出す(袋ごと渡さない)。食べ終わったら動画タイムにする。
6〜9歳 1日1〜2時間を目安に家庭でルールを設定 食事中はスクリーンオフ。おやつと動画の「順番」を決める。 一緒にルールを作る。「おやつを食べ終わったらYouTube20分」など交渉型に。
10〜13歳 時間よりも「いつ・どこで」を重視 食卓にスマホを持ち込まない。間食は台所でとる。 SNSの食品広告について一緒に話す。「この投稿は何を売ろうとしてる?」と問いかける。
14〜17歳 自己管理を促す。親は環境設計で支援。 深夜のスクリーン×間食パターンに注意。 キッチンに置く間食の選択肢を整える。「食べること」と「画面」を物理的に分離する。
ワーママ向け: 帰宅後の「おやつ→動画」順序がカギ 仕事帰りの夕方は、子どもにスクリーンを使ってもらいたい時間帯。それ自体は悪いことではありません。ポイントは「おやつを食べてから動画」の順序を守ること。先におやつを食卓で食べきってから動画タイムにすれば、「ながら食べ」を防げます。おやつは小皿に適量を盛って、食べ終わったらお皿を下げる。このひと手間だけで状況は変わります。

5. 今日からできる「おやつタイム」の設計

系統的レビューの知見を日常に落とし込むと、大切なのは3つの原則です。

原則1: 食べる場所と見る場所を分ける

もっとも効果的なのは、食べる場所と画面を見る場所の「物理的な分離」です。食卓で食べる → リビングで動画を見る、という動線を作るだけで、ながら食べは大幅に減ります。

完璧を目指す必要はありません。「平日の夕方のおやつだけは食卓で」というルール1つで十分です。週末の映画タイムにポップコーンを食べるような場面まで禁止する必要はありません。

原則2: 「見える化」でおやつの量をコントロールする

ながら食べの最大の問題は、食べた量の自覚がなくなることです。スナック菓子の袋を丸ごと渡すのではなく、小皿に「これだけ」と出すだけで、無自覚な食べ過ぎを防げます。

🍎

カット果物プレート

りんご・みかん・キウイなどを一口大にカット。色とりどりで見た目にも楽しく、満足感のある一皿に。

🥜

小分けナッツ+干しいも

小さな器に素焼きナッツと干しいもを少量ずつ。噛みごたえがあるので、少量でも時間をかけて楽しめます。

🧀

チーズ+クラッカー

個包装のチーズと全粒粉クラッカー。たんぱく質と食物繊維の組み合わせで満腹感が持続します。

🫐

冷凍フルーツヨーグルト

プレーンヨーグルトに冷凍ベリーを入れるだけ。ひんやり感がデザート気分で、子どもの満足度も高いおやつ。

原則3: 子どもと一緒にルールを作る

特に小学生以上の子どもには、親が一方的にルールを押しつけるよりも、「一緒に決める」プロセスが効果的です。「おやつの時間は何分にする?」「食べ終わったら動画にする?」と聞いて、子ども自身にルールを言葉にさせると、守りやすくなります。

完全に守れなくても構いません。「今日はできなかったけど、明日はやってみよう」というゆるさが、長期的には効果を発揮します。

「ルール」より「環境」を変える方が効く 子どもに「ながら食べはダメ」と言い続けるよりも、食卓におやつを出して「ここで食べようか」と声をかける方が自然に行動が変わります。行動科学では「ナッジ」と呼ばれるアプローチです。詳しくは関連記事をご覧ください。

6. よくある質問

Q. スクリーンを完全に禁止すべきですか?

完全に禁止する必要はありません。2025年の系統的レビューでも、問題になっているのは「スクリーンの有無」ではなく「使い方」です。

食事やおやつの時間だけはスクリーンをオフにする、時間帯を決めて使うなど、食べる場面に限定したルールを作るのが現実的です。教育的なコンテンツや家族で一緒に見る映画まで禁止する必要はありません。

Q. SNSとテレビではどちらが食行動に影響しますか?

系統的レビューの分析では、どちらも食行動に影響しますが、メカニズムが異なります。

SNSは食品広告やインフルエンサーの投稿を通じて「食べたい」という衝動を刺激し、ボディイメージにも影響します。テレビは受動的な「ながら食べ」を誘発し、満腹感への意識を低下させます。

年齢が低い子どもはテレビの影響が大きく、思春期以降はSNSの影響が増す傾向があります。

Q. 何歳からスクリーンと食行動の関係に気をつけるべきですか?

食習慣が形成される幼児期(2〜5歳)からの意識づけが効果的です。WHOは2歳未満のスクリーンタイムを推奨しておらず、それ以降も1日1時間以内が目安とされています。

ただし、これは「時間の管理」だけの話ではありません。小さい頃から「食べるときは画面を消す」を家庭のルールにしておくと、成長後も自然にその習慣が続きやすくなります。何歳からでも遅くはありません。

Q. 親自身が食事中にスマホを使っていますが、影響はありますか?

子どもは親の行動を観察し、模倣します。特に幼児期は「親がやっていること=正しいこと」と認識しやすい時期です。

「完璧な親」を目指す必要はありませんが、食事中だけは親もスマホを伏せておく、という姿を見せることは、どんな言葉よりも説得力があります。「一緒にやろう」という姿勢が、子どものルール遵守率を上げるという研究もあります。

Smart Treatsでは、すべてのお子さんが安心しておやつを楽しめることを大切にしています。本記事は特定の食品や食事法を推奨・否定するものではなく、科学的な研究知見をわかりやすくお伝えすることを目的としています。お子さんの食事や発達に関するご心配がある場合は、かかりつけの小児科医や管理栄養士にご相談ください。

本記事の作成にあたり、AIを活用した情報整理を行っています。最終的な内容は編集部が確認・編集しています。