アメリカが禁止に動いた着色料 — あなたの子どものおやつは大丈夫?

Smart Treats 編集部 2026年3月29日 コラム
すべてのご家庭に 保育園・幼稚園の先生にも

スーパーのおやつ売り場で、子どもが真っ先に手を伸ばすのは、色鮮やかなグミやキャンディ。赤、青、黄色――あのワクワクする見た目が、子どもの心をつかむことは親なら誰でも知っています。

でも、もしその「色」が、お子さんの落ち着きや集中力に影響しているとしたら?

2025年、アメリカのFDA(食品医薬品局)が石油由来の合成着色料を食品から段階的に廃止すると発表しました。この決定の背景には、子どもの行動への影響を示す数十年にわたる研究の蓄積があります。

この記事では、何が起きているのか、日本ではどうなのか、そして明日からできることを、根拠とともにお伝えします。

もくじ
  1. FDAは何を決めたのか
  2. 着色料と子どもの行動 — 研究が示していること
  3. 日本の現状 — 認可されている合成着色料
  4. 裏面表示の見方ガイド
  5. 天然色素で「見た目もワクワク」な代替案
  6. 保育園・幼稚園向けチェックポイント
  7. よくある質問

1. FDAは何を決めたのか

2025年、アメリカ保健福祉省(HHS)とFDAは、食品供給から石油由来の合成着色料を段階的に廃止する方針を発表しました。対象となるのは、アメリカで食品に使用が認められていた石油系合成色素8種です。

FDAの発表内容(2025年) 出典: FDA Press Release "HHS, FDA to Phase Out Petroleum-Based Synthetic Dyes from Nation's Food Supply" (2025)
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/hhs-fda-phase-out-petroleum-based-synthetic-dyes-nations-food-supply

この決定は突然出てきたものではありません。ヨーロッパでは2010年から合成着色料を含む食品に「子どもの活動や注意に悪影響を及ぼす可能性がある」という警告表示が義務づけられています。アメリカはそこから15年遅れて、より踏み込んだ「禁止」という判断に至りました。

「禁止」の意味を正しく理解する FDAの今回の決定は「合成着色料が毒物である」という意味ではありません。日常的な摂取量において、一部の子どもに行動面での影響が見られること、そして石油由来である必要がないこと(天然の代替手段が存在すること)を総合的に判断した結果です。パニックになる必要はなく、「知った上で選ぶ」ことが大切です。

2. 着色料と子どもの行動 — 研究が示していること

合成着色料と子どもの行動に関する研究は、1970年代から蓄積されてきました。中でも転換点となったのが、2007年にイギリスのSouthampton大学が発表した研究です。

Southampton研究(2007年) 3歳の幼児と8〜9歳の児童を対象に、食品着色料と安息香酸ナトリウム(保存料)の混合物を摂取させた二重盲検ランダム化比較試験。結果、両年齢群で多動性の有意な増加が確認されました。この研究はEUの警告表示義務化の直接的な根拠となりました。 McCann D, et al. "Food additives and hyperactive behaviour in 3-year-old and 8/9-year-old children in the community: a randomised, double-blinded, placebo-controlled trial." The Lancet. 2007;370(9598):1560-1567.

研究から分かっていること

注意: 「着色料を抜けば落ち着く」とは限りません 着色料の除去だけで子どもの行動が劇的に改善するケースは限定的です。食事全体のバランス、睡眠、運動、家庭環境など、さまざまな要因が子どもの行動に影響します。「着色料さえ避ければ大丈夫」という単純化は、かえって大事な要因を見落とすことにつながります。

3. 日本の現状 — 認可されている合成着色料

日本では現在、12種類のタール色素(石油由来の合成着色料)が食品添加物として認可されています。アメリカやEUと比較すると、規制は緩やかな状況です。

色素名(日本名) 国際名 米国での状況(2025年以降)
赤色2号 Allura Red AC (Red 40) 段階的廃止対象
赤色3号 Erythrosine (Red No.3) 使用禁止
赤色40号 Allura Red AC 段階的廃止対象
赤色102号 New Coccine 元々未認可
赤色104号 Phloxine 元々未認可
赤色105号 Rose Bengal 元々未認可
赤色106号 Acid Red 元々未認可
黄色4号 Tartrazine (Yellow 5) 段階的廃止対象
黄色5号 Sunset Yellow (Yellow 6) 段階的廃止対象
青色1号 Brilliant Blue (Blue 1) 段階的廃止対象
青色2号 Indigo Carmine (Blue 2) 段階的廃止対象
緑色3号 Fast Green (Green 3) 段階的廃止対象

日本の子ども向け食品でよく見かける製品カテゴリ

合成着色料が使われやすい子ども向け食品には、以下のようなものがあります。

日本でも変化の兆し 大手メーカーの中には、自主的に合成着色料から天然色素への切り替えを進めている企業もあります。「着色料不使用」「合成着色料フリー」と表示された商品は年々増えています。消費者の選択が、メーカーの判断を後押ししている状況です。

4. 裏面表示の見方ガイド

「合成着色料を避けたいけれど、どこを見ればいいの?」という方のために、食品パッケージ裏面の原材料表示の読み方を整理しました。

チェックポイント1: 「/」の後ろを見る

日本の食品表示法では、原材料名の中で添加物は「/」(スラッシュ)で区切って表示されます。スラッシュの後ろに並んでいる成分が添加物です。ここに着色料の記載があるか確認しましょう。

チェックポイント2: 合成着色料の表記パターン

合成着色料(タール色素)は、以下のような名前で表示されます。

表示例 意味
赤色○号、黄色○号、青色○号、緑色○号 合成着色料(タール色素)です
赤○、黄○、青○ 上記の略記。同じく合成着色料です
着色料(赤色3号) 用途名と物質名の併記。合成着色料です
着色料(カラメル、クチナシ、ベニコウジ) 天然由来の着色料です(番号がない)
着色料(ビートレッド、アナトー、ターメリック) 天然由来の着色料です
見分けのコツ: 「色+番号」は合成、「植物名・素材名」は天然 「赤色○号」のように色と番号の組み合わせなら合成着色料。「クチナシ」「ベニコウジ」「ターメリック」のように植物や素材の名前で書かれていれば天然着色料です。この違いを覚えておくだけで、売り場での判断がぐっと速くなります。

チェックポイント3: 「着色料不使用」の表記

「合成着色料不使用」と書かれていても、天然着色料は使われている場合があります。天然着色料にも種類があるため、特定のアレルギーがある場合は天然着色料の成分名まで確認しましょう(例: コチニール色素は甲殻類アレルギーの方に反応が出る場合があります)。

5. 天然色素で「見た目もワクワク」な代替案

「合成着色料を避ける=地味なおやつ」ではありません。天然の素材でも、子どもが喜ぶカラフルなおやつは作れます。見た目はワクワク、中身は安心。そんなおやつの選び方をご紹介します。

🫐

ブルーベリーの紫

アントシアニンによる天然の紫色。ヨーグルトに混ぜるだけで鮮やかなパープルに。抗酸化作用も。

🥕

にんじん・かぼちゃのオレンジ

ベータカロテンによる天然のオレンジ。蒸してマッシュすれば、パンケーキやマフィンの生地に使えます。

🍓

いちご・ビーツのピンク

フリーズドライいちごを砕いてパウダーに。ビーツパウダーも天然のピンクを出す優秀な素材です。

🍵

抹茶・ほうれん草のグリーン

抹茶パウダーなら手軽に鮮やかなグリーン。ほうれん草パウダーは味のクセが少なく使いやすい食材です。

🍋

ターメリックのイエロー

クルクミンによる天然の黄色。ごく少量で鮮やかに色づきます。ラッシーやクッキーの色付けに。

🍫

ココアのブラウン

純ココアパウダーで自然な茶色。鉄分・食物繊維も含まれ、お菓子作りの定番素材です。

市販品でも選べる時代に 最近は「着色料不使用」のグミやキャンディ、天然色素のみを使ったゼリーなど、コンビニやスーパーでも手に入りやすくなっています。すべてを手作りする必要はありません。「買い物のときに裏面をちらっと見る」、その一歩だけでも十分です。

6. 保育園・幼稚園向けチェックポイント

園でのおやつ提供は、保護者からの信頼に直結します。「何を出しているか」を明確に説明できる体制は、園の食育方針の柱になります。以下は、合成着色料の観点から確認しておきたいポイントです。

おやつ選定チェックリスト

保護者への説明のヒント

保護者から「うちの園ではどうなっていますか?」と聞かれたとき、以下のような説明ができると信頼につながります。

回答例 「当園では、おやつの選定にあたり原材料表示を確認し、合成着色料(タール色素)を含まない商品を優先的に選んでいます。見た目の楽しさも大切にしたいので、天然の色素を使った商品や、果物・野菜の自然な色を活かしたおやつを取り入れています。」

食育活動のアイデア

合成着色料の話題は、子どもたちの「食べ物への好奇心」を育てるきっかけにもなります。

7. よくある質問

Q. 合成着色料はADHDの原因になるのですか?

合成着色料はADHDの直接的な原因ではありません。ADHDは遺伝的要因や脳の発達に関わる神経発達症です。

ただし、Southampton大学の研究(2007年)をはじめとする複数の研究で、合成着色料が一部の子どもの多動性や不注意を悪化させる可能性が示されています。FDAも2025年に、こうした研究結果を踏まえて石油系合成着色料8種の段階的廃止を決定しました。

「原因ではないが、影響を与える可能性がある」という理解が、現時点での科学的コンセンサスです。

Q. 日本で売られているお菓子にも合成着色料は入っていますか?

はい。日本では12種類のタール色素(石油由来の合成着色料)が食品添加物として認可されており、グミ、キャンディ、かき氷シロップ、駄菓子などに使われていることがあります。

ただし、大手メーカーを中心に天然色素への切り替えが進んでおり、「合成着色料不使用」と明記された商品も増えています。パッケージ裏面の原材料表示で「赤色○号」「黄色○号」といった表記がないか確認するのが最も確実な方法です。

Q. 天然着色料なら安全ですか?

天然着色料は植物や昆虫などの天然素材から抽出されたもので、石油由来の合成着色料と比べて行動面への影響の懸念は少ないとされています。

ただし、「天然=完全に安全」ではありません。たとえばコチニール色素(カルミン酸色素)は、まれにアレルギー反応を引き起こすことが報告されています。天然着色料であっても、成分名を確認する習慣を持つことが大切です。

本記事は食品添加物に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の食品や着色料の使用を禁止・推奨するものではありません。お子さんの食事や発達に関する具体的な相談は、かかりつけの小児科医や管理栄養士にご相談ください。

本記事の作成にあたり、AIを活用した情報整理を行っています。科学的根拠はFDA公式発表およびThe Lancet掲載の査読済み論文に基づいており、最終的な内容は編集部が確認・編集しています。